
よく「玉掛け用具を捨てるタイミングが分からない」と、点検の相談をもらうんだ。
捨てるタイミングが分からなかったら、なんでも壊れるまで使っちゃうよね。でも、それってすごく危険だよね!
使用している現場に訪問させてもらって、説明しながら実際に点検してみると、
ほとんど廃棄基準に達していた!なんてこともあったんだ。
ということで、今回は「シャックルの点検項目・廃棄基準」を紹介していくよ。
点検タイミング
シャックルに限らず玉掛け用具は、「日常点検」と「定期点検」を行うよ。
日常点検は、毎日作業前に行う点検で、基本的に目視での確認。
定期点検は、使用頻度により毎月1回以上定期的に行う点検のことで
ノギスなどを使用して日常点検より細かく確認し、台帳等に記入・管理するんだ。
この点検で、廃棄基準に達している玉掛け用具は廃棄する必要があるよ。
点検項目
点検項目は大きく分けて以下の6項目だよ。
①変形していないか
②摩耗していないか
③き裂、傷がないか
④アークストライクがないか
⑤腐食・さびがないか
⑥刻印はあるか
①変形していないか(日常点検・定期点検)
シャックル本体とピンの両方を確認して、変形していないかを確認するよ。
・本体またはボルト・ピンが変形しているもの
・ネジが完全に入らないものや割ピンが入らないもの
があったら廃棄するよ。
②摩耗していないか(定期点検)
摩耗は定期点検の対象で、本体クラウン部(d)とボルト(d3)をノギスで計測して、
「元の寸法よりも5%以上摩耗していないか」を点検するんだ。
摩耗率の求め方は、摩耗率(%) = (元の寸法 – 点検後の寸法) ÷ 元の寸法×100 で
摩耗率が5%以上になってしまったら廃棄するよ。
③き裂、傷がないか(日常点検・定期点検)
シャックル全体を見て、き裂や傷がないか確認するよ。
「き裂」はあったらすぐに廃棄しなくちゃいけないんだけれど、「傷」は使用を継続できる場合があるよ。
当たり傷、切り欠きをグラインダーなどで滑らかに削り取ったあとの寸法が
元の寸法より5%以上減少していなかったら、まだ使うことができるんだ。
ただ、グラインダー等で手直しした後は、必要に応じて探傷検査をすることが望ましいとされているから
磁気探傷試験やカラーチェックなどで、小さなき裂がないかチェックしてくれよな。
④アークストライクがないか(日常点検・定期点検)
この項目は日常点検・定期点検ともに、目視でアークストライクがないか確認するよ。
アークストライクがあるシャックルは、急速に傷や割れが進んじゃうから、廃棄しないといけないんだ。
アークストライクとは、溶接を開始する際などに
不用意に溶接棒や溶接ワイヤを接触させて、アーク(火花が飛ぶ状態)を発生させたときにおこるものだよ。
アークストライクの熱影響によって熱処理を施した合金鋼の材質変化が起こることでもろくなり、割れやき裂などが生じやすくなっちゃうんだ。
⑤腐食・さびはないか(日常点検・定期点検)
これは分かりやすいね。
目視やブラシでチェックして、使用上有害な腐食やさびがあるものは廃棄するよ。
⑥刻印があるか(日常点検・定期点検)
最後に、目視でメーカー名・等級・使用荷重などがちゃんと読み取れるか確認するよ。
使用荷重が分からないようなシャックルは怖くて使えないよね。
また、メーカー名が見えなかったら、
もし製品に何らかのトラブルがあった場合、どこに問い合わせたらいいのか分からないよ。
だから、読み取れないものは廃棄するようにしてね。
以上が、シャックルの点検項目だよ。分かってくれたかな?
点検時に使える定期点検チェックシートも用意しているから使ってみてね!もちろん無料だよ。
今日も一日ご安全に!