ワイヤロープの点検項目「断線」

今回は、ワイヤロープの点検項目の1つ「断線」を紹介するよ。

 

断線とは?

まず、断線とは、ワイヤロープの素線が切れることを指しているよ。「素線切れ」とも言うね。

ロープに繰り返し作用する引っ張りや曲げによるダメージが蓄積し、起こる現象なんだ。

一般的なワイヤロープの構成(交差より)

 

 

断線の種類

断線は、発生位置によって種類が分かれるよ。

 

1.外部断線

外部断線 外部断線

上の画像は実際に断線しているワイヤロープだよ。

丸のところが断線しているんだけれど分かるかな?

こんなふうに、表面から見える素線が切れていることを「外部断線(クラウン断線・山切れ)」と言うんだ。

 

2.内部断線

その反対に、表面から見えない素線が切れていることを「内部断線」と言い、

その中でも更に「谷部断線(ニップ断線・谷切れ)」と「底部断線(ベッド断線・心接面切れ)」の2種類に分かれるんだ。

谷部断線は、ストランド同士が接触する部分(谷部)で、素線と素線が擦れ合い発生する断線のことを指し、

底部断線は、主に「鋼心」の場合に起きる現象で、ストランドの心材と接触する部分で発生する断線だよ。

 

外部断線と内部断線では、一般的に外部断線が先行して発生すると言われているんだ。

今回は、玉掛け用ワイヤロープの点検項目にある「外部断線」と「谷部断線」の点検方法を説明するね。

 

 

点検方法・廃棄基準

ワイヤロープの点検と廃棄基準は、

線材製品協会鋼索部会(旧日本鋼索工業会)監修「玉掛索の正しい取扱い方」に記載されていて

断線の点検は、ワイヤロープの全長・全周にわたり断線の有無を確認するんだ。

 

廃棄基準は、外部断線と谷部断線で違うよ。

 

1.外部断線

外部断線の廃棄基準は、

「最外層素線数×6倍(6ストランド)の10%以上断線しているもの」とされているよ。

最外層素線とは、ストランドの外周にある素線のことなんだ。

最外層素線数

例えば、6×24のワイヤロープの場合

最外層素線数15本 × 6倍(6ストランド) は90本

90本の10%は9本だから、9本以上断線しているものは廃棄ということだよ。

 

2.谷部断線

次に谷部断線の廃棄基準は、「1本でも断線しているもの」とされているよ。より厳しいね。

 

「あれ、表面から見えないのにどうやって確認するの?」って思わなかったかい?

そうなんだ。ワイヤロープを真っ直ぐにしている状態では、谷部断線を目視で見つけるのは困難なんだ。

だから、谷部断線を点検する時はロープを曲げてみてくれよな。

谷部断線を起こしていると、ロープを曲げたら断線部分が飛び出すよ。

その素線の飛び出しの有無を確認してね。

谷部断線の点検方法

 

 

今回は、ワイヤロープの点検項目「断線」について説明したよ。

分かってれたかな?

ワイヤを曲げるミスターT

 

今日も一日ご安全に!

 

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