ロック管同士の間が短いワイヤロープは、素線切れを発生しやすく危険だよ!
秋も深まり、あちらこちらの木々が色付いて
いるね。君たち、もみじ狩りに行ったかい?
僕は先日、京都の嵐山に行ったんだ。
嵐山は多くの寺院が点在しているだけでなく、
トロッコからや川下りをする船から、紅葉を
楽しむことが出来るという近畿の人気の観光
スポットなんだ。
人気スポットだけあって、観光客が非常に多かっ
たけど、紅葉も街並みも凄く綺麗に見られたよ。
紅葉の時季もそろそろ終盤・・と考えると、
もう12月だよね。
12月(師走)はバタバタしがちだけど、現場で
バタバタするのは危ないから、玉掛け作業は
落ち着いておこなうようにしてくれよ。
さて、そろそろ今回の話題に入ろう。
今回から12月の4週にわたってワイヤロープに
関することを書いていこうと思う。
今回は「ロック管同士の間が短いワイヤロープ
は、素線切れを発生しやすく危険だよ!」
と題して書くよ。
玉掛け作業に使うワイヤロープには、
段落し加工(編み込み)とロック加工があるよ。
画像を見ての通り、段落し加工とロック加工の
加工部の長さを比べると、ロック加工の方が
短いんだ。
つまり、全長が短いワイヤロープを必要とする
場合は、ロック加工をすれば良いんだよ。
でも、安易に短くするのは危険なんだ。
例えば、揚程が低くてワイヤロープを短くしな
ければならない現場などで使われているけど、
君たちの中で、下の絵のようなロック加工の
ワイヤロープを使っている人はいるかい?
このような、ロック管同士の間が短い加工の
ワイヤロープの使用は危険だよ!
まず、ロック加工の端部の状態が
どうなっているのかを、下の絵を見てくれよ。
ロック管には2本のワイヤロープが挿入され、
圧縮されているんだ。
このロック管付近に注意をしなければならない
ポイントがあるよ。ロック管とワイヤロープが
擦れるから、ロック管の出口付近は、素線切れが
発生しやすいんだ。
素線切れが発生したワイヤロープは耐力が
落ちて、破断する危険があるんだ。
さて、ここで君たちに質問・・
下の絵の2種類のワイヤロープ、ロック管付近で
素線切れしやすいのはどっちか分かるかい?
答えは、短い0.65mの方が素線切れしやすいんだ。
差が出る理由は2つあって、1つ目はロック管
付近に伝わる力の影響。2つ目はロック管同士の
間での曲げによる力の影響があるんだ。
上の画像のように、同じ条件でワイヤロープを
揺らし続けた場合、短いワイヤロープの方が先に
ロック管の出口付近で素線切れを起こすんだ。
これは、ロック管同士の距離が長い方は
力が分散されて、ロック管付近に伝わる力が
弱くなっているということなんだよ。
理由の2つ目の曲げによる力の影響についても、
長いワイヤロープの方が、ロック管付近に伝わる
力が弱いんだよ。これはワイヤロープを曲げて
みれば分かりやすいけど、短いワイヤロープの
方が曲げにくくて、負荷が掛かっているって
分かるよね。
つまり理由の2つとも、ロック管同士の距離が
短い方が、ロック管の出口付近に掛かる負荷が
大きいってこと。
負荷が大きい方が素線切れしやすいって
覚えてくれよ。
ワイヤロープが素線切れ、破断しないように
君たちが使うロック加工のワイヤロープは、
出来るだけ長い物を選択してくれよな!!
形が同じでもサイズが変わればダメなモノと
言えば、こんなのイメージしたんだけど・・
洗濯方法を間違えて、縮んでしまった
セーターって、着られないよね。
形が同じでもサイズが変わればダメなものとして、
ロック管同士の間が短いワイヤロープは
使わないって覚えておいてくれよな!!
君たち、今日も一日ご安全に!!!