シャックル表面処理シリーズ1 黒の巻
前回のブログについて質問があったから
ここで紹介しておくよ。
前回はワイヤの加工効率について説明をしたんだけど、
そこで「クリップ止めのワイヤを玉掛けとして使ってもいいですか?」
という質問をもらったから答えておくよ。
結論から言うと、クリップ止めは玉掛けに使っちゃダメなんだ。
クレーン等安全規則によると
『1.事業者は、エンドレスでないワイヤロープ又はつりチェーンについては、その両端にフック、シャックル、リング又はアイを備えているものでなければクレーン、移動式クレーン又はデリックの玉掛用具としてはならない。
2.前頁のアイは、アイスプライス若しくは圧縮止め又はこれらと同等以上の強さを保持する方法によるものでなければならない。この場合において、アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを3回以上編み込んだ後、それぞれのストランドの素線の半数の素線を切り、残された素線をさらに2回以上(すべてのストランドを4回以上編み込んだ場合には1回以上)編みこむものとする。』
と書かれているよ。
クリップ止めの加工効率は
正しく取り付けられたとして80~85%。
加工がちゃんとできていない場合は
50%まで効率が落ちるから、
圧縮止めやアイスプライスと同等以上とは言えなくなるもんね。
だからクリップ止めでは玉掛け作業はできないよ。
ちなみに加工効率が65~75%のコッター止めでも同じことだよ。
これも玉掛け作業をしちゃいけないんだ。
大切なことだから覚えててくれよな。
さて、ここから本題に入るよ
君たち今さらだけど、
シャックルの表面処理ってわかるかい?
防錆性や耐久性を高めるために、
材料の表面に加工を施すことを言うんだ。
単純に見た目をキレイにするために表面処理をしたりもするよ。
代表的な処理としては「メッキ処理」や「塗装」のものがあるんだ。
今月は4回シリーズとして
この表面処理に注目していこうと思う。
まず第一弾は「黒」だよ。
いやいや、メッキでも塗装でもなんでもない!
と思った君たち。
表面処理をする前の状態から紹介するから
あんまり早まらないでくれよな。
メッキや塗装については次週から説明するよ。
まず黒についてなんだけど、
一般的にメッキや塗装をしていない
そのままの状態のものを指して言うんだ。
呼び方として「黒」の他に「生地」とも言ったりするよ。
ただ、防錆油を塗っている場合もあるから注意してくれよ。
黒のメリットとして
一番にあげられるのが、価格が安いこと。
表面処理が無くて、作るときの工程がメッキのものと比べると
少なくなるから必然的に安くなるよね。
だから消耗品として使ったりするときなんかにもよく選ばれるよ。
他に自分のところでメッキをかけたい、塗装をしたい
と考えている人は黒を選んだりもするよ。
ただ、表面処理の仕上がりなどに関しては、
処理をしてくれるメッキ屋さんや
塗装屋さんに相談してからにしてくれよな。
デメリットとしては
濡れると錆びやすいということが一番のポイントだね。
だから、濡れる場所での作業には向かないよ。
こういうときはメッキしたものや
ステンレスのものを使ってくれよな。
あとはそのまま手で触ると汚れてしまうから
手袋をしてから触るようにしてくれよ。
手が真っ黒になっても知らないからね。
シャックルの黒について説明してきたけど、
君たちだいたいわかってくれたよな?
要はメッキや塗装をしていない
ありのままの状態のことを指して言うんだ。
そう、ありのまま…
うん、どこかで聞いたことのあるフレーズだよね。
もうあのブームから3年ほど経つんだね。
メッキもせず、塗装でもない
ありのままの姿で頑張っている黒のシャックル。
君たちも興味が湧いてきただろ。
次回はメッキについて説明しようと思うから
楽しみにしていてくれよな。
君たち、今日も一日ご安全に!!