同じように見えるけど、実は違うんです!【玉掛け・台付け編】
君たち、いつも見てくれてありがとう!
前回も話したように、君たちが
困っちゃていることを解決していこうと思う。
僕も経験したことなんだけど、
君たちから
「台付ワイヤの9×3m 2本注文」
ってFAXや電話で注文をもらうんだ。
そんな時には、このように聞き返すんだ。
「荷物を吊るのかい?」
このやり取りだけでわかっちゃった人も
いると思うけど、わからなかった君たちのために
今回は、玉掛ワイヤと台付ワイヤの違いについて
書いていっちゃうよ。
まずは、この写真を見てみよう。
玉掛け用ワイヤとして一般的に使用する、
6×24というワイヤロープの構成写真なんだ。
この写真の中で、ストランドと素線の話をちょっとしていくよ。
素線は、ワイヤロープのもととなる鋼線なんだ。
6×24であれば、
6×24=144
つまり、144本の素線で構成されていて
裸素線とめっき線があるよ。
ストランドは、複数の素線などをより合わせたロープのことなんだ。
玉掛ワイヤロープは荷を吊り上げるため、
台付ワイヤロープは荷を固定するため
と使用目的が違うから、まずは覚えておいてくれよ。
玉掛ワイヤロープにはアイスプライスの加工方法が
定められているんだけど、台付ワイヤロープには
特に加工方法は規定されていないんだ。
外観に関しては、ワイヤーロープの両端を
アイスプライスしちゃうから、同じように見えるけど
玉掛ワイヤロープは、半差(素線の半分を切り落とす)を
行うから差し終わりが細くなっていくんだ。
台付ワイヤロープは、半差を行わず丸差のみ
行っているから、筒形で正常部との境目に段がついているよ。
このように、台付ワイヤロープは玉掛ワイヤロープと
外観上見分けが付きにくいから、間違って玉掛ワイヤロープとして
荷を吊り上げるために使用しちゃっていることが多いのが現状なんだ。
半差をすることによって、 加工部分がテーバー状になり、
力(応力)が一点に集中するのを防ぐことができちゃうんだ。
それに対して台付ワイヤロープは、図のように
ヒゲの部分に段がついて、力が一点に集中しちゃうから、
破断しやすくなるんだ。
玉掛ワイヤロープと台付ワイヤロープにはヒゲに違いがあるよ。
ヒゲの位置は2ヶ所で、ストランドが合計12ヶ所
ヒゲの位置は1ヶ所で、ストランドが合計6ヶ所
台付ワイヤロープは、5回編みこんだだけなのに対し、
玉掛ワイヤロープは、3回(もしくは4回)編みこんだ段階で、
ストランドを半分に切り落として(半差)から
さらに2回(最初に4回編みこんだ場合は1回)
編みこむために、ヒゲ(矢印部)が2ヵ所出てきちゃうんだ。
この加工方法は、クレーン等安全規則第219条の中にあるよ。
【第219条抜粋】
アイスプライスは、ワイヤロープのすべてのストランドを
3回以上編み込んだ後,それぞれのストランドの素線の半数を切り、
残された素線をさらに2回以上 (すべてのストランドを4回以上
編み込んだ場合は1回以上)編み込むものとする。
以上をまとめて一覧にしてみたよ。
一見同じようで見分けがつきにくいもので
間違えると危険なモノっていうとキノコがそうだよね。
毎年秋になると、野生キノコによる食中毒の報道が
よくされてるよね。
ドクツルダケとシロオオハラタケは見た目が似ているみたい。
名前からしてどちらが毒キノコかわかると思うけど、
誤って食べると死亡することもある猛毒キノコで、
キノコによる死亡事例の約半分を占めているらしいよ。
食べられるキノコと毒キノコの見分け方は、
キノコ観察を繰り返すしかないみたい。
毒キノコとそれに似た食べられるキノコの特徴を
ひとつひとつ覚えていく以外に道はないんだ。
今回みたいに、玉掛ワイヤロープと台付ワイヤロープの
違いを知らないと安全作業はできないよね。
実際起こった事例だけど、
トラックで運搬してきて荷締めに使用した
台付ワイヤロープで吊りあげてしまって
ワイヤロープの強度不足で切れてしまった。
違いを知っていれば、事故を防ぐことができたと思うし、
今でも、このような事故が起きたりしているよ。
だから、安全上危険な行為になっちゃうから、
君たちでも気が付いたらすぐに使用を中止して、
玉掛ワイヤロープに取り替えるように言ってくれよ。