ワイヤの点検方法を紹介しちゃうよ! ~2週目~
≪このたびの台風19号による被害にあわれた皆様には、謹んでお見舞い申し上げます。≫
東日本を中心に大きな台風の被害が出ているね。
川が氾濫したり、土砂崩れが起きたり、まだ停電が続いているところもあって不安な人も多いよね。
地盤が緩んでいるところや、川の近くは危険だから、近づかないようにしてくれよ。
さて、ここから本題に入るよ。
先週からワイヤの点検方法について説明しているよ。
今日は前回の続きをしていくね。
まずは、うねりについて。
名前のとおり、ワイヤがうねっている状態だよ。
著しくうねっているものや、上の図でうねりの幅(d₁)がロープ径(d)の4/3以上になっているものは廃棄してくれよな。
次はストランドの落ち込み、浮きについて説明するよ。
ん?なにそれ?と思った君たち、下の図を見てくれよ。
写真を見るとイメージが沸いたかな?
全体的に見たときに、ストランドの落ち込み、浮き、かご状のものがある場合は廃棄してくれよ。
次は熱影響について。
ワイヤを使うときに、熱さを伴うところで使用する場合もあるよね。
スパークが認められるものや、素線表面に金属の光沢がなく、灰白色やブルーに変色しているものは廃棄してくれよ。
最後は断線について。
上の写真をよく見てくれよ。
ワイヤの素線がプツンと切れているところがあるよね。
これが断線だよ。
断線には「山断線」と「谷断線」っていうのがあって、それぞれ廃棄基準が違うんだ。
■山断線(クラウン断線)
ロープ1よりの間において、最外層素線数×6倍(6ストランド)の10%以上断線しているもの。
【例】6×24の場合の計算式
最外層素線数15本×6倍(6ストランド)×10%=9本以上断線しているもの
■谷断線(ニップ断線)
1本でもあるもの
これはJIS規格等にある廃棄基準になるんだけど、10%以上って言われてもすぐにわからないよね。
日本鋼索工業会では、目視で断線の本数を数えることで廃棄基準を設定しているよ。
(出典:日本鋼索工業会)
線材製品協会も、また別の廃棄基準を設けているよ。
(出典:線材製品協会)
この手配指針っていうのは、「これくらいの状態だとそろそろ廃棄基準に達するから、新しいものを手配してくれよ」っていう意味なんだ。
目安としては、わかりやすいよね。
日本鋼索工業会と線材製品協会の廃棄基準は、JIS規格等より厳しく廃棄基準が設定されているよ。
目視で判断できるから、こういう資料もあるよってことを覚えておくといいよね。
君たち子供のころに万華鏡を覗いたことはあるよね。
いきなり何を言ってるんだって?
僕はあの万華鏡の模様を見ると、どうしてもワイヤのストランドの断面を思い出してしまうんだ。
僕と同じことを思っている君たちは、きっと職業病だよ。
君たち、今日も一日ご安全に!