広げると必要になるものってな~んだ?
だいぶ暑くなってきたけど、君たち元気にしているかい?
田んぼでは田植えが始まったり、ツバメが土をせっせと運んで巣を作ったり、カエルがケロケロと鳴いていたり、日本の素晴らしい原風景が広がっているよね。
四季のある日本に生まれてよかったって思える季節だよね。
ちなみに僕は季節を匂いで感じる瞬間ってのが好きなんだ。
今の季節だと田んぼの乾いた土に水を入れた時の匂いや、熱くなったアスファルトに雨が降った時の匂いを嗅いだ時なんかに季節を感じるかなあ。
ああ、あとはカエルの匂いかな。
カエルの匂いって言っても生きてるカエルじゃなくて、田んぼから道路に飛び出したカエルが車に轢かれてぺったんこになってしまって、それが道路にわんさか増えてきた時の匂いなんだ。
・・・ちょっと生々しいかな?でも田舎では当たり前だったし、その衝撃的(?)な光景も6月頃の風物詩なんだけどね。
うん、僕はいわゆるひとつの匂いフェチなんだろうね。
君たちも「こんな匂いに季節を感じるよ」ってのがあったら教えてくれよな。
嗅ぎにいっちゃうよ!
さて、ここから本題に入るよ。
前回は長尺物を吊り上げる際に使用する天秤について紹介したよね。
吊り上げる角度をなくすことで安全に吊り上げることが出来るってことがメリットなんだけど、長尺物を吊り上げる際でも天秤の使用が出来ないこともあるかもしれないね。
そんな時には前回もチラッと紹介したけど、吊り角度による「張力増加係数」というものを考える必要があるから詳しく紹介するよ。
張力増加係数ってのは、簡単に言うと多点吊りの時にスリング間の角度が広がれば広がるほど、スリングや連結金具に必要な強度があがるってことなんだ。
下の絵を見てほしい。
こんな玉掛け作業があったとするよ。
1tの吊り荷を2本で吊り上げるってことで、一本あたりに必要な強度は0.5tだって思った君はいるかな?
正解は×だよ!
実は単純に2本で割るという計算ではなくて、吊り角度を考慮する必要があるんだ。
今度は下の表を見てほしい。
これが張力増加係数の表だよ。
多点吊りの時にはスリング間の吊り角度によって、この表の係数を計算に入れなくちゃならないんだ。
この場合は吊り角度が60°だから・・・
こんな計算式になって、1本あたりに必要な強度は0.58tだってことなんだ!
これは、スリングの端末にくるシャックルやフックなんかも影響を受けるから、その点も注意してくれよ。
あと、4本吊りの時にみる角度はどこ?ってことなんだけど、これは最大の角度(対角線の角度)をみてほしいんだ。
タイトルでクイズみたいに書いたけど、「吊り角度が広がるってことは必要な強度があがる」が正解だよ!
覚えておいてくれよな!
ちなみに君たちは子供の頃に学校で「バケツを持って廊下に立ってなさい!」って言われたことはないかい?
恥ずかしながら、僕はあるんだ。
バケツを持った腕を左右に広げていくことを想像してみてほしい。
腕に感じる力はどうかな?
そう、どんどん重く感じるよね。
これとまったく同じ力ってわけじゃないらしいんだけど、この例えは「角度が広がると力が必要」ってことを想像してもらいやすいから、よく使っているよ。
君たちも誰かに説明する時に使ってくれよな!
そういや小学校の時の「牛乳を拭いた次の日の雑巾の匂い」ってのも、いまだに覚えてるなあ。
君たち、今日も一日ご安全に!