溶接の基本と、熱処理と溶接の関係
君たち、6月20日は父の日だね。何かする予定はあるかい?
毎年、母の日に比べて父の日は忘れられがちな気がするよね。
なんでかなと思って調べてみたら、
理由の一つに父親はプレゼントなどを贈ったときの反応が薄いって出てきたよ。
きっと、恥ずかしがり屋のお父さんが多いってことだね。
考えてみたら僕のお父さんも、
父の日に贈り物をしたときあんまり反応がなくて嬉しくなかったかな?って
思ったけれど顔を見たら頬は緩んでいたし、毎日身に着けてくれていたことを思い出したよ。
薄いのは頭だけにしてほしいよね。
今年は、お父さんに喜ぶ練習をしてもらってから、帽子をプレゼントしようかな。
さて、ここから本題に入るよ。
前回は熱処理について、説明したね。
忘れちゃった君や見ていない君はここから見てくれよな。
今日は溶接の基本と、熱処理と溶接の影響について説明していくよ。
溶接の基本
溶接とは、金属を溶かして接合することだよ。字のまんまだね。
JISでは、「2個以上の母材を、接合される母材間に連続性があるように、
熱、圧力またはその両方によって一体にする操作」と定義とされているよ。
溶接の種類は、大きく「融接」「圧接」「ろう接」の3つに分けられるんだ。
「融接」は、溶接の中で最も一般的で、
母材と溶加材(溶接棒)、またはどちらか一方を加熱し溶かして接合する方法だよ。
火花を散らして作業するようなイメージの溶接は、だいたいこれに該当するかな。
「圧接」は、加圧溶接の略で、機械的に摩擦や圧力、電流などで母材を溶かして接合する方法、
「ろう接」は、母材を溶かさず、母材より融点が低い溶加材(ろう)を使用し、接合する方法だよ。
それぞれに、さらに細かく分類された溶接方法が存在するよ。
溶接されている玉掛け用具は、チェーンがあるよ。
チェーンは主に「フラッシュバット溶接」と「アプセットバット溶接」の2つの溶接方法で、接合されているんだ。
この2つは、圧接の中に分類されているよ。
それぞれに特徴があるんだけれど簡単に説明するね。
「フラッシュバット溶接」は、接合させたい母材の端面同士を軽く接触させて、
電流を流し、電気抵抗によって発生した熱で十分加熱された後に加圧して接合させる方法だよ。
接合強度が強いことが特徴で、主に荷重のかかる場合や張力、吊等体力が必要な時に利用されるよ。
例えば、アンカーチェーン(スタッド付・スタッド無)がこの溶接法だよ。
「アプセットバット溶接」は、接合させたい母材の端面同士を軽く接触させて、
加圧しながら電流を流し電気抵抗によって発生した熱で、接合させる方法だよ。
この溶接は、接合部に完全密着が望めず、吊り具には使用できないんだ。
比較的小さい断面のものの溶接に利用される場合が多いよ。
例えば、雑用チェーンがこの溶接方法だね。
チェーンのほかにも、ターンバックルのストレートや船用アイプレート、
丸リングなどは溶接して使用されるよね。
熱処理と溶接の関係
君たちは、アークストライクがあるシャックルは、
急速に傷や割れが進んで廃棄しないといけないと聞いたことはないかい?
アークストライクは製品の近くで溶接していて、不用意に溶接棒や溶接ワイヤを
接触させてアーク(火花が飛ぶ状態)を発生させたときにおこるよ。
アークストライクの熱影響によって熱処理を施した合金鋼の材質変化が起こり
もろく、割れや亀裂などが生じて破損しやすくなっちゃうんだ。
直接溶接した場合も同じことがいえるよ。
前に聞いたんだけれど、Vフックにユーザーが勝手に取っ手を溶接していたことがあったみたいなんだ。
これは、事故の原因になるから君たちはやめてくれよな。
基本的には合金鋼で作っているシャックルやリング・フックは溶接できないよ。
ただ、材質や適切に熱処理をしたときなどは溶接できる場合もあるから
どうしても溶接がしたいってときは、僕に相談してくれよな。
今日は溶接について説明してきよ。
ぼくもマスクを毎日かぶるのが、めんどくさいから、もうくっつけちゃおうかな!
君たち、今日も一日ご安全に!!!