伸びる前に伸ばす!?ワイヤロープのプレテンション加工
君たち聞いておくれよ。この間友人がお土産にご当地カップ麺をくれたんだ。
そのカップ麺を食べようと湯を入れた後、ちょっとだけ洗い物をしようと思ってしまったんだ、、、。
察しのいい君はもう分かったかな。
そう、すっかりカップ麺の存在を忘れて洗い物を全部片づけてしまったんだ。
タイマーもかけていなくて、気づいたら湯を入れてから15分もたっていたよ。
カップ麺はスープがちょっとだけになって、麺が伸びて残念なことになっていたよ。
普通のカップ麺だったら「そんなときもある」って思えたけど、お土産でもらったご当地ラーメンを粗末にしてしまったことが、すごく悔しかったよ。
僕のような悔しい思いをしてほしくないから、君たちはちゃんとカップ麺に湯を入れたらタイマーをかけるんだよ。
ちなみに、食べてみると、いや、なかなかどうして、意外に伸びてもおいしくて、しっかり全部食べたよ。
さて、ここから本題に入るよ。
君たちはワイヤロープを使っていて、なんだか買ったときより伸びた気がする、、、と思うときはないかい?
そうなんだ!それは勘違いじゃなくて、実際にワイヤロープは使っているうちに伸びてくるんだ!
だから買ったときよりも少し長くなってくるのが普通だよ。
伸びるのが普通と分かっていても、ワイヤロープが伸びるのが気になる君がいる事や伸びると困る作業がある事を僕は知っているよ。
そんなときにおすすめするのが、これから説明する「プレテンション加工」だよ!
「プリテンション加工」と呼ばれることもあるよ。
「プレテンション」っていうのは、「プレ」と「テンション」に分けると分かりやすいかな。
「プレ」は「以前の」や「前の」という意味があって、
よく「プレオープン」や「プレ保育所」のように使われているよね。「プリ」でも同じ意味だよ。
「テンション」っていうのは英語で、緊張状態や張力のことを指すんだ。
糸をピンと張ることを「テンションをかける」って言ったりするよ。
ていうことは、「プレテンション」というのは「前もって張力をかける」って意味になるよね!
つまり、使っているうちに伸びてしまうワイヤロープを前もって伸ばして、後から伸びないようにするんだ。
もう少し専門的に説明すると、ワイヤロープの「プレテンション加工」とは製造したワイヤロープに
一定荷重を一定時間かけて、初期伸び(ロープの構造上の伸び)を除去する目的で行なわれる加工方法だよ。
ロープに加える荷重はロープの構成によって変化させる必要があって、荷重をかける時間は短いと効果が充分でないんだけど、長すぎても効果がその分比例するわけではないんだ。
ワイヤロープ加工屋さんでは加工するロープに合わせて、ちょうどいい時間でプレテンションしてくれるよ。
プレテンション加工は実用上多くの効果が認められていて、大きく3つのメリットがあるんだ。
まず、最初のメリットは「初期伸びとロープ径の減少が少なくなる」だよ。
プレテンション後のロープは構造上の伸びが除去されるから、使いはじめに生じる初期伸びと初期ロープ径の減少が少なくなるんだ。
2つ目のメリットは、「伸びが少なくなる(弾性係数が高くなる)」だよ。
常用荷重以上の荷重でプレテンションされるから、実用範囲での弾性係数が向上するんだ。
つまり、ワイヤロープの伸びが少なくなるんだ。
3つ目のメリットは、「ロープのよりを安定した状態に落ち着かせて、動索として耐久性を向上させる」だよ。
素線やストランド同士の馴染みが良くなりワイヤロープの耐疲労性が向上し、より正確な測長が可能になるんだ。
今紹介した3つのメリットから、特殊クレーンやエレベーター、ロープウェイ、橋梁などに利用されるワイヤロープはこの加工をされることが多いよ。
プレテンション加工が気になった君は、僕に相談してくれよな!
今日は、プレテンション加工について説明したよ。
ワイヤロープは伸びる前に伸ばす!麺は伸びる前に食べる!だよ!!
君たち、今日も一日ご安全に!!