HISTORY Vフック開発ヒストリー
「Vフック誕生」“こだわり”からの
脱却と創造
いまやTAIYO製品の顔となった「Vフック」。安全性を重視する多くの現場で活躍しています。そんなVフック開発に至るきっかけから性能まで、Vフックの全てをご紹介します。
01 きっかけ
- ヨーロッパの吊り具が市場を席巻しはじめた頃・・・
- 遡ること数十年前、「グローバル・スタンダード」の影響もあり、ヨーロッパの吊り具が
市場を席巻しはじめた頃、私たちはこんな不安を抱いていました。- 海外製品で事故が起きたときに対応する能力が乏しいのではないか?
- ヨーロッパ規格の製品が、日本で正しく使用されているのか?
- メイドインジャパンの安全と信頼はどうなる?
- 新型重量フック開発へのプロジェクトが発足
- 何かが起きてからでは遅いという危機感から、当時当たり前だった重量フックの様々な問題点を改良するべく、新型重量フック開発へのプロジェクトが発足しました。
02 改良だけではない
+αの技術力
問題点①【外れ止め金具の強化・ロープの外れ】
最もユーザーからの声が多かったのが、外れ止め金具が破損しやすいという事。重量フックは横からの荷重に弱く、金具も簡単なものでした。その問題を解決するために、Vフックは金具を強固なものにし、二股のツメと本体先端の溝により横ずれを防ぐ構造にすることで飛躍的に強度が向上しました。横荷重及び内側からの荷重は、ヨーロッパ規格(EN1677-2規格では300kg又はフックの使用荷重の10%)に適合しています。
ワイヤの立ちによるロープ外れ現象の改善
重量フック
- 重量フックでは、無負荷時にロープの立ちによる外れが生じる恐れがあり、安全面で大きな不安がありました。
- 無負荷時に、ワイヤが立ち上がり、外れ止め金具に引っ掛かる状態になってしまうのです。
- そのまま吊り上げてしまうと、フックに強く負荷が掛かりはじめるタイミングでワイヤが外れ、吊り荷を落下させてしまいます。
Vフック
- Vフックは外れ止め金具の形状を工夫することで、ロープ外れ現象を防止します。
- 外れ止め金具の先端形状をフックの先端とフラットにすることにより、金具に引っ掛かりません。
- 金具に引っ掛かることがないので、ワイヤが外れることがなく、安全にご使用いただけます。
問題点②【口幅サイズ・使用荷重】
- ▲ 従来の重量フックとのサイズ比較画像
- 重量フックバネ付T-1tに対し、Vフック1.25t
口幅と懐のサイズアップと同サイズながら、強度UPにも成功
金具を強固なものにし、形状を工夫したことにより、厚みが増したため、次はフックの口幅が狭くなるという問題が生じてしまいました。ここで見直したのは、フックそのものの形状です。形状を変えるということは、最も大切な使用荷重の見直しが必要になります。
口幅の問題は、フック内側に外れ止め金具を収納するスペースを確保することでクリア出来るとしても、その分薄くなってしまったフック本体の強度を確保する為に、TAIYOの強みが活かされました。
豊富な実績と、試験設備により、強度計算・破断試験を繰り返すことで、従来の重量フックより、コンパクトながら25%程度の強度UP、口幅のサイズUPに成功したのです。
問題点③【ワイヤへの負担・廃棄基準】
重量フックはアイ部のRが小さい為、ワイヤロープに対するダメージが大きく、短期間でワイヤ交換をする必要があり効率は良くないものでした。
VフックではR部分を大きくすることで、ワイヤ・ベルトスリングとの相性を上げ、ダメージを軽減することでフックだけでなく吊り具全体を長持ちさせることに成功しました。
また、分かりにくい重量フックの廃棄基準を明確にするために、Vフックは外れ止め金具が外側に開いた時点で廃棄時期が一目で分かるようにし、安全に使っていただく為の工夫を施しました。
03 安全・安心を普及
従来の重量フックの問題点を克服するだけでなく、+αの付加価値をいくつも備えたVフックが誕生し、あとはユーザーへどのように普及していくのか。
ここからは営業力です。単にPRするだけでは価格面の問題や、モデルチェンジへの抵抗は避けられないものでした。しかし、新たにたどり着いた「Vフック」の基準は、「ユーザーの安全第一」を考えたものです。安全率5倍以上の設定値を大きく超える、1.25t用フックで8t以上の性能を発揮するTAIYOクオリティ製品が、ユーザーに提供できるものは、「安全」「安心」「信頼」なのです。従来の重量フックの間違った使われ方やその危険性を、あらゆる業種・現場のあらゆるユーザーへ訪問し、丹念に「安全」を啓発し「安心」を与え、「信頼」をいただくことで、少しずつ、確実にVフックは普及していったのです。
04 Vフックの進化
このようにして、新型重量フック「Vフック」がスタンダードになっていったのですが、そこがゴールではありません。
古い考え方に固執するのではなく、新しい風を開発に、営業に、会社全体に取り入れ、そして現場へと広げていく。
その意志はしっかりと現在も受け継がれ、Vフックは今も成長しているのです。